福島事故後の原子力政策:再編と課題

判定:正しくない

### Topic
福島事故後の原子力政策:再編と課題

### Summary
2011年の福島第一原発事故後、日本は新規制基準を策定し、原子力をベースロード電源と位置付け再稼働を進めている。しかし、安全性への不信、再稼働の遅れ、最終処分地問題など、政策には多くの課題が継続している。

### Body
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波は、東京電力福島第一原子力発電所事故を引き起こし、外部電源と非常用電源のほぼ全てが喪失し、炉心溶融と水素爆発に至った。事故前、日本には54基の商業用原子力発電所が存在したが、2024年1月末現在では合計36基となり、そのうち24基は廃止措置が決定されている。2026年4月16日時点では、合計33基の原子炉のうち15基が再稼働しており、2026年6月30日時点では、7発電所11基が運転中、12発電所22基が停止中、3発電所3基が建設中である。

福島第一原子力発電所事故の教訓と世界の最新知見を踏まえ、原子力規制委員会は「新規制基準」を策定し、2013年7月8日に施行した。この基準は、想定を上回る自然災害やテロ攻撃に備えた「重大事故対策」、活断層調査の強化や津波防護策を定めた設計基準「耐震・耐津波性能」、既存設備の安全対策を強化する設計基準「自然現象・火災に対する考慮等」の3つから構成される。日本の原子力政策の基本方針である「エネルギー基本計画」では、原子力発電は「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である」と位置付けられている。原子力発電所の運転期間は「原則40年、最長60年」と定められていたが、審査などで停止していた期間を上乗せできる新制度が導入された。30年超運転のプラントについては、10年以内ごとに「長期施設管理計画」の認可を受けることが義務付けられている。日本は、使用済み核燃料を再処理し、ウランとプルトニウムを再利用する「核燃料サイクル」を推進しており、これにより放射性廃棄物の発生量を抑え、有害度を低減することを目指している。高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体として地下深部に埋設処分することが法律で規定されており(地層処分)、2017年7月には、地層処分の仕組みや日本の地質環境等への理解を深めるため、「科学的特性マップ」が公表された。

原子力発電は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源であり、優れた安定供給性と効率性を有する。運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出がないため、脱炭素化に貢献する重要なベースロード電源として位置づけられている。第7次エネルギー基本計画では、脱炭素電源として再生可能エネルギーと原子力を共に最大限活用することが掲げられており、原子力規制委員会から新規制基準に適合すると認められたものについては、安全性確保と地域の理解を大前提に、再稼働を加速する方針が示されている。日本の原子力発電は、部品の多くが国内で製造されており、約90%の技術自給率を持つため、エネルギー安全保障に寄与する。また、昼夜問わず稼働するデータセンターや半導体工場など、新たな電力需要にも対応できる特性を持つ。「GX実現に向けた基本方針」や「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」において、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉(革新軽水炉、小型軽水炉、高温ガス炉、高速炉など)の開発・建設に取り組むことが記載されており、将来的なエネルギー供給の安定化と脱炭素化への貢献が期待されている。

福島第一原子力発電所事故の経験から、国民の間には原子力発電所の安全性に対する根強い不信感と懸念が存在する。新規制基準の適合性審査をクリアしても、周辺自治体の同意が得られず、再稼働の目途が立たないケースが少なくない。例えば、新潟県知事は柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非について県民に信を問うとしていたが、県民投票条例案は県議会で否決された。安全対策に関する問題も頻発している。中部電力浜岡原子力発電所では、耐震設計の基準となるデータに不正が見つかり、原子力規制委員会による安全対策に関する新規制基準の適合性審査が中止された。また、東京電力柏崎刈羽原子力発電所では、運転員のIDカード不正使用など核セキュリティの杜撰な実態が発覚し、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令が出された事例がある。日本原電敦賀2号機は、原子炉直下に活断層がある可能性から審査不合格となった。東日本大震災で被災した福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)は、安全対策のハードルが非常に高く設定されており、西日本に多い加圧水型軽水炉(PWR)が先行して再稼働している状況にある。政府は「2040年度に電源構成の2割程度」を原子力で賄う目標を掲げているが、既存の再稼働だけでは10基以上不足するという専門家の指摘があり、目標達成が困難な現状にある。2024年度の国内原子力発電所の平均設備利用率は32.3%にとどまっており、再稼働が進まない「停滞期」にある。多くの原発が運転開始から平均35年を経過しており、2040年代以降は多くの原発が次々と運転上限に達し、退役していくことが見込まれる。高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定は、過去半世紀以上にわたり原子力を利用し、既に廃棄物が存在している以上、必ず解決しなければならない国家的課題である。現在、文献調査プロセスを実施しているのは北海道の寿都町、神恵内村、佐賀県の玄海町の3町村のみである。国際エネルギー機関(IEA)の想定では、2050年の電力供給の約9割を太陽光発電や風力発電を中心とした自然エネルギーが担うとされており、原子力発電は世界全体の電力需要のせいぜい1割程度しか供給できないという見方もある。

### Verification
日本の原子力発電所の安全性は、福島第一原子力発電所事故の教訓と世界の最新知見を踏まえ、原子力規制委員会が策定し2013年7月8日に施行した「新規制基準」によって評価されている。この基準は「重大事故対策」「耐震・耐津波性能」「自然現象・火災に対する考慮等」の3つの設計基準から構成される。また、30年超運転のプラントに対しては、10年以内ごとに「長期施設管理計画」の認可が義務付けられている。

### Supplement
日本のエネルギー政策の基本方針である「エネルギー基本計画」では、原子力発電は「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である」と位置付けられている。使用済み核燃料の再処理と再利用を目指す「核燃料サイクル」が推進され、高レベル放射性廃棄物の地層処分については、2017年7月に「科学的特性マップ」が公表されている。政府は「GX実現に向けた基本方針」や「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」に基づき、次世代革新炉の開発・建設にも取り組んでいる。

### Evidence
* [日本の原子力発電所](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [エネルギー基本計画](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [高レベル放射性廃棄物](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [原子力発電の利点](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [エネルギー安全保障](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [次世代革新炉](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [柏崎刈羽原子力発電所](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [原子力発電所の問題](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [再稼働の停滞](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [最終処分地](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)
* [IEAの想定](https://www.japantimes.co.jp/news/japan/)

根拠・参照文献