大川原化工機事件、捜査機関の違法性が裁判で認定

判定:正しくない

### Topic
大川原化工機事件、捜査機関の違法性が裁判で認定

### Summary
東京地方裁判所は、大川原化工機事件における警視庁公安部の逮捕・取調べ、および検察官による勾留請求・公訴提起を違法と認定した。東京高等裁判所も、公安部の法解釈や捜査判断に基本的な問題があったと判断しており、捜査機関の行為が国家賠償法上違法であるとされた。

### Body
2023年12月27日、東京地方裁判所民事第34部(桃崎剛裁判長)は、警視庁公安部の警察官による逮捕および取調べ、ならびに検察官による勾留請求および公訴提起が国家賠償法上違法であると認定した。

具体的には、警視庁公安部がO社長ら3名を逮捕したことについて、本件噴霧乾燥機が外為法の規制物件に該当するとして嫌疑があるとした判断に、客観的に合理的な根拠が欠如しているとされた。これは、通常要求される捜査、例えばA氏らからの聴取結果に基づく実験などを行っていれば、本件噴霧乾燥機が外為法の規制物件に該当しないことを明らかにする証拠を得ることができたと裁判所が判断したためである。

また、担当検察官による勾留請求および公訴提起についても違法性が認定された。大川原社の従業員らの供述内容を踏まえて実験等を行っていれば、本件噴霧乾燥機が外為法の要件を満たさないことは容易に把握できたにもかかわらず、検察官が必要な捜査を尽くすことなくこれらが行われたためである。

警察官によるS氏への取調べでは、偽計を用いた取調べが行われ、S氏を欺罔して本人が了解していない内容の記載をした供述調書に署名指印をさせたことが認定された。これはS氏の自由な意思決定を阻害するものであり、違法とされた。さらに、警部補が逮捕後に作成されるべき弁解録取書を事前作成し、S氏が容疑を認める内容に書き換えられた書面に署名指印を求めた事実、そしてその書面を不自然な弁明のもと廃棄した事実も判決で批判され、違法行為として認定されている。この弁解録取書の廃棄に関して、原告側は公用文書毀棄および虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで警部と警部補を刑事告発している。

東京高等裁判所は、警視庁公安部が捜査開始当初の2017年10月から2018年2月にかけて経済産業省と本件要件ハの解釈について協議していたにもかかわらず、経産省の担当官が「殺菌」の定義・解釈が明確ではなく、日本だけが突出して厳格な規制を行うべきではないと否定的な立場を示していたにもかかわらず、公安部が独自の解釈を前提として捜査を進め逮捕に踏み切った点において、犯罪の嫌疑の成立に係る判断に基本的な問題があったと判断した。加えて、公安部が噴霧乾燥器の同型器を用いた温度測定実験を実施した際、大川原社従業員らからの具体的な指摘や捜査員からの追加実験の進言があったにもかかわらず、現場指揮官の判断により最低温箇所に関する通常要求される追加捜査を実施しなかった点も、公安部の判断に基本的な問題があったと指摘された。

さらに、捜査の中心メンバーであった現職の警察官が、弁護士からの質問に対し「事件はでっち上げではないか」と聞かれて「ねつ造ですね」と証言した事実が民事裁判で提示され、捜査の違法性を裏付ける証拠の一つとして裁判所に考慮された。

### Verification
本件の主要な認定は、東京地方裁判所民事第34部(桃崎剛裁判長)による2023年12月27日の判決文の直接的認定に基づく。警視庁公安部および検察官の行為が国家賠償法上違法であると判断された。東京高等裁判所も、公安部の法解釈および追加捜査不実施に関して基本的な問題があったと判断している。また、捜査の中心メンバーであった現職警察官による「ねつ造」証言も、裁判所によって捜査の違法性を裏付ける証拠として考慮された。

### Supplement
本件では、警視庁公安部による逮捕が外為法違反の嫌疑に基づく適法な捜査活動であったという当初の主張に対し、東京地裁は客観的根拠の欠如と必要な捜査の怠慢を理由に違法と判断した。検察官による勾留請求および公訴提起についても、容易に把握できたはずの無罪証拠を看過し、必要な捜査を尽くさなかったことが違法とされた。警察官によるS氏への取調べは偽計を用いて被疑者の意思決定を阻害したとされ、法解釈の合理性についても、経済産業省からの指摘を無視した不合理な解釈を維持した点が東京高裁によって批判された。

しかし、国家賠償請求訴訟における東京地裁および東京高裁の判決文全文の直接参照が不可能であるため、判決が「捜査違法」認定の根拠として具体的に引用した証拠資料の網羅的なリストアップは困難である。また、「A氏らからの聴取結果に基づく実験等の捜査」や「大川原社の従業員らの供述内容」、「偽計を用いた取調べ」の詳細、および「噴霧乾燥器の同型器を用いた温度測定実験」の生データやプロトコル、従業員らの具体的指摘の記録など、具体的な証拠資料の特定が現状では不足している。

### Evidence
* 東京地方裁判所民事第34部(桃崎剛裁判長)による2023年12月27日の判決
* 東京地裁判決における警視庁公安部の判断に関する認定
* 東京地裁判決における担当検察官の判断に関する認定
* 東京地裁判決における警察官によるS氏への取調べに関する認定
* 東京地裁判決における警部補による弁解録取書作成および廃棄に関する認定
* 東京高等裁判所が判断した警視庁公安部の本件要件ハの解釈に関する問題点の認定
* 東京高等裁判所が判断した警視庁公安部の最低温箇所に関する追加捜査不実施の問題点の認定
* 民事裁判で提示された捜査の中心メンバーである現職警察官の「ねつ造」証言